第 11 章「究極の魔法」
第 04 節「ポートルモア」
「炎は赤く、大地は黄色、水は碧、風は青く。
熱は橙、磁力は緑、氷は水色、電気は紫。
これを円に描くと・・・。」
ルアーズは魔法を発動させない。
少年たちの想像力を掻き立てるよう話した。
「虹みたいになるのか・・・!!」
「そうよ。
大きい虹の円の中に、もう一つ、虹の円を描く。
雨が上がって、日が射してきた空を頭に思い浮かべながら、拳を繰り出す。」
ぶつけあった拳に虹色がはじけた。
「これが、“LIFE”・・・!?」
「うん、すごいじゃない!
恐ろしい敵に遭遇したら、これで自分とみんなを守ってね!!」
「はい・・・!!」
ルアーズを探してアンバスが来た。
息を切らしている。
「海上に、・・・見たこともない、人型の獣だ!!
港が、使えなくなっている・・・。」
「人命優先よ!
戦うことよりも街の人を避難させて!!」
アンバスはタフツァやソマのように広範囲の強力なバリアは張れない。
しかし得意の「大筒(おおづつ)」がある。
「僕が時間を稼ぐ!
君たち、街のみんなに、怪物から離れて身を守るように言ってほしい!!」
「わかった、任せて!」
機能停止したルモア港へ、恐怖心を振り払うようにアンバスは駆けた。
ルアーズはアンバスと少年たちの、どちらにも援護できる位置を取った。
巨大な鳥の翼を羽ばたかせて、霊獣クザムナリスが街を眺めている。
ヒトの女性に似た白い顔が嘲笑っているようだ。
ふわりと上昇した後、両の翼で突風を起こしてきた。
放射状に波が立つ。
船が転覆するほどに持ち上がった。
街の木々は吹き荒らされ、屋根は剥がされる。
物が飛び散る。
人々の叫び声が上がると、絶望的な恐怖から混乱に陥った。
次の一波を許してはならない。
アンバスは標的にされることも覚悟で、巨大な円筒状の光を撃った。
以前起こした時と異なり、中心にしっかりと“LIFE”を描いていた。
直撃は避けたが、霊獣は足を掠められて叫び声を発する。
その声が精神を蝕むようだ。
逃げ惑う街の人が耳を押さえてしゃがみ込み、中には頭を地面に付けてガクガクと震え、悲鳴を上げる女性、唸り声を発する男性が後を絶たない。