第 11 章「究極の魔法」
第 04 節「ポートルモア」
ファラの特訓時もそうだったように、ルアーズは武術の基礎動作といえる体術から少年たちを鍛えることにした。
「槍じゃなくてグローブ!?」
「そうよ。
敵に槍を弾き飛ばされたり、折られてしまうことだってある。
体術を覚えておけば、武器を奪い取ることも、格闘で相手を倒すこともできるじゃない?」
「おおーっ!!」
手始めは、拳に紐と布でスポンジを結いつけてグローブとした。
「武術はケンカではないの。
相手の動きから、どう受け返せばいいか学ばせてもらう。
ケガをさせたり、キズつけたりしない。
打撃によって、立てなくする。
そういう撃ち方ができるのよ。」
彼女は少年の頭上を飛び越して背後を取ったり、身を屈めて滑り込み、反撃させない戦法を披露した。
そのたびに周囲から驚嘆の声が広がる。
体力をつけるため、近郊まで走りに行ったりもした。
スポンジからの打撃は痛くないので、少年たちがルアーズの言うように、撃ち方・避け方の学習ができるまでになると、最初に教えておくべきこととして“LIFE”の話を始めた。