The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 05 節「獅子王の会座(えざ)」

第 44 話
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森は病み始めていたのである。

世界を満たした緑色のエネルギーは、すでに闇を帯びてきていた。

“LIFE”の魔法陣の中で魔人が苦しみもがくように、反“LIFE”の流れに変わりつつあるこの森の瘴気(しょうき)は、ヱイユの心身をひどく蝕んだ。

豊穣(ほうじょう)な大地の癒しは、腐敗によって毒と化してしまった。

ヱイユは夢にうなされ、額に汗を滲ませていた。
苦しみの声をあげるようになると、アーダは心配になって鳴いた。

「はあっ、はあっ、はっ、はっ、ううっ・・・。」

これは夢なのか現実なのか、早く確かめたくて飛び起きた。

「アーダ!
ヒユルは!?」

目を閉じて首を振るアーダを見て、ヱイユは落胆し、大樹の懐に両手を着いた。
全身の汗が冷えていくようだ。

「どうしたんだ、この森は・・・。」

アーダも咽(むせ)るようで、その頭に触れて立ち上がった。

「奴ら、何か撒きやがったな・・・!!」

彼は最初、魔人どもが毒霧のようなものを発生させているのだと思った。

「アーダ、ここにいたら俺たちまでやられてしまう。
上空へ、飛べるか?」

頷いた背中に飛び乗ると、冷たい空まで突き抜けた。

東の方に白っぽい靄(もや)が立ち込めている。
どんよりと朝が明けようとしていた。

「空気もそうだが、森の様子が変だぞ。
何か分かるか?」

ヱイユはアーダの首元まで近付いて、竜族の声を読み解いた。

「獣が!?
操られているのか?
自分たちの森を破壊するために、術士に力を貸すというのか・・・!!」

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