The story of "LIFE"

第 08 章「星辰(せいしん)」
第 01 節「萌黎(ほうれい)の朝(あした)」

第 07 話
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会議の席で、イデーリア大陸の情勢に詳しいルアーズは言った。

「わたしたちは旅人です。
セトの国内へも入っていける。
ルビレムさんたちは顔を知られているから、公然と入っていくことが難しいでしょう。」
「いざとなれば戦って逃げ延びるさ。
それにしてもこれだけの援軍、大いに助かる。」

パーティリーダーのファラが質問した。

「兵器の破壊は侵略を阻止することにつながると思いますが、彼らの軍事思想を改めさせることにはなりません。
少数対大多数の戦闘の中で、こちら側の戦い方を示して相手を変えるというのにも限度があります。
・・・もし、同等に戦える人員があったとしたら、皆さんはどのような戦闘、どのような勝利を目指されますか?」

ムゾール=ディフが答える。

「わしらは対人戦を手段とせずにこれまで戦ってきた。
戦車(チャリオット)の破壊、船の破壊、武器や火器の生産妨害、軍事糧道の分断。
なぜ、人を害さないか、彼らにも分かってきていると思う。
もとより、セトといえどもその民は心から戦争など望んでいない。
問題は、軍人が国の上層部を席巻していることだ。
好戦的な指導者、及び士卒どもには、到底、戦っても無駄だと分からせるほどの力を見せつけてやりたいというのが、正直なわしの考えでもある。」

ファラは頷きながら話し出した。

「それは実際、可能だと思います。
シェブロン先生の弟子であるぼくたちは、一人が数百人を相手に戦えるでしょう。
一度の戦闘で最大の効果を得るべきです。
そして、殺意に対して殺意を抱いてはいけません。
生命を奪うのではなく、悪しき殺意だけを殺すのです。」

フィヲは一瞬、ドキッとしてファラの顔を心配そうに見た。
しかし、言っている意味を理解すると、彼女らしい、嬉しそうな表情になった。

『どうしたの?』
『ううん、ファラくんがリーダーでよかった・・・。』

あまり会議が好きでないザンダは、頬杖をついて聞いていたが、横でファラとフィヲが囁き合っているのを見て、以前とは違い、つい笑みが浮かんできてしまうようだ。
ここにいる旅の仲間以外の、つい先日出会ったばかりの人々が、実は自分の熱烈な支持者たちであるなどとは思いもよらない。

「いいじゃないか。
軍人を挑発するなんて簡単だよ。
宣戦布告すればいいんだ。」

ザンダのこうした発言に、フィヲは怒ってみせようかとファラの顔を見たが、笑って頷いているので、声を出すのをやめた。
そしてルアーズもまたザンダの味方なのである。

ムゾール=ディフは涙を浮かべて立ち上がり、呼応の意思を見せた。
情にもろいルビレムは、また顔を見られないように後ろを向き、肩を震わせていた。

最後にファラが言った。

「みなさん、一切、ご心配はいりません。
ザンダの言う通り、堂々と宣戦布告しましょう。
そして大いにLIFEの戦い方を示し、高慢な害意を、侵略的軍事思想を、完膚なきまでに失墜させてやりましょう!!」

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