第 13 章「革命機関紙」
第 01 節「エピローグ」
本作を 1999 年の秋に起稿してから、サイト制作する中で、物語本編に載らない「生命の詩(うた)」「革命の詩(うた)」というコンテンツが生まれた。
「革命機関紙」という詩は、「革命の詩」のメインコンテンツだった。
学生時代は理系学科在籍にも関わらず、横浜線の端から端まで、立っても座っても、よく小説や歴史書を読んだものだ。
中でも近代フランスの文学が好きだった。
革命の理想とは何か。
不条理に対抗する手段とは。
それは声を上げることだ。
一人の声が取り上げられないとしても、その声が代表する、不正に搾取された層の声を集めることで、大きな声となる。
今置かれている環境は不正であること、私たちには権利があることを、筆を執って人々に教え、立ち上がらせる存在があった。
革命家である。
怒りと悲しみに突き動かされる民衆は、時に暴徒と化し、革命の理想を踏みにじった。
岩波ホールで上映された「ホセ・リサール」「マンデラの名もなき看守」は、衝撃的だった。
また後年、映画「ガンジー」を DVD で視聴することができた。
アフガニスタンを舞台とする映画「子供の情景(原題『ブッダは恥辱のあまり崩れ落ちた』)」も、映画館へ足を運んだ。
中国には古来、「志(こころざし)」があった。
野心と異なり、必ず中心に「民」があったのではないか。
第二次世界大戦後、史上空前の凶悪な軍事侵略国・日本に対する賠償が問われた時、中国の周恩来総理はこう言った。
「日本の国民も軍国主義の被害者である。」
だから賠償は免除する、と。
日本人は永久に、精神の大国から受けた友宜の心を忘れてはならない。
近代中国における「長征」についても、私はもっと学びたいと思っている。
革命家と似た存在に「詩人」がいる。
革命家が急進的になりやすいのに対し、詩人の目的は人間性の向上といえまいか。
過去の成功した革命は、革命家が詩心を持って人々の善性を薫発し、心を合わせて事にあたったことが要因と考えられる。
感情を知性にまで昇華できるか否かは、野心と反目だけの革命家なのか、人間それ自体を高めようとする詩人なのかに左右されると言ってよい。
それでこの物語は詩に始まり、世界を「アズライマ(as rhymer, 詩人として)」と呼ぶことにしたのである。