The story of "LIFE"

第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 05 節「妙法広布の大願」

第 12 話
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この時、ファラとフィヲはリザブーグにいなかった。

久方ぶりにロマアヤを訪れていたのである。

もう騎士の鎧を着ていない。
普通の旅行者と同じように、よそ行きの洋服を着て。

あの「無刃刀」や、魔法使いの「杖」は持っていない。

大戦の後、魔法は一度も使っていなかった。

ザンダを訪ねる前、二人はゼオヌール夫妻の墓参をした。

二基の墓標が慎ましく、凛々しく、仲睦まじそうに立っている。

フィヲはリュエンナ妃に報告した。

「わたしはファラの妻として、家庭を築き、一家で妙法を広め抜いてまいります。」

ファラはゼオヌール公の墓前に誓った。

「わたしはフィヲの夫として、子孫を育み、世界に妙法の灯を点(とも)してまいります。」

初夏の涼しい風が緑に薫り、若い夫婦を祝福しているようだ。

白い鳩たちが一斉に飛び立つと、大空を二旋、三旋と巡り、生の喜びを謳歌した。

「これからは人を育てることが大事だ。
就きたい職に就ける教育と社会が必要になる。
そのためには“LIFE”を、人間のど真ん中に置く、“人間教育”こそが求められる。」
「ええ、教育機関だけではなく、企業にも家庭にも、教育力が必要だわ。」
「“LIFE”を国家の柱、社会や共同体の柱、法人や個人の柱に定めた所が発展する。
人類は、互いに攻撃して損なう愚かさから脱却して、人道的に発展を競い合うべきなんだ。」

幸いにも師匠は平等に存在している。
これは有り難いことだ。

とともに、師匠から授かったところの妙法を、共に求め、深め合っていける関係がいかに素晴らしいか。

夫妻の対話は、なぜ平和になった後も、万人にとって“LIFE”が必要であるかに進展した。

「新しく生まれるということは、シェブロン先生が闘争に次ぐ闘争の御生涯であられたように、戦いの連続なんだ。
ぼくもその戦いに連なることができた。
思うに、“自分自身”という宿命を、自分だけの使命に変えていく力こそが“LIFE”なんじゃないか。」
「そう、“LIFE”という万人の願いを叶えるために、この一生を、かけがえのない“生命”を捧げていく。
究極の魔法であり、究極の妙法そのものに、わたしたちの“生命”が変わっていく。
だから無限の力が現れるんだわ。」

温かい日差しに包まれて、二人はこの上なく幸せだった。

ふと、ファラが語った。

「ねえ、聞いたことある?
ラオンジーウ先生とシェブロン先生が、大切に学んでこられた座右の書。
苦しんできた庶民が、偉大な妙法に目覚めて、ついに凱歌を上げる物語。」
「えっ、何!?
わたしも知りたい・・・!!」

ファラは少し駆けて、ロマアヤ宮殿の噴水前に立った。
そして振り向いて答えた。

「『ヒューマン・レヴォリューション』。
君とぼくとが歩いていく、どこまでも続く一本の道だよ!!」
「あっ、待ってー!!」

正午を告げる鐘が鳴ると、噴水は一斉に見事なアーチを描いた。

「見てっ、虹・・・!!」
「ああ、二人で描いた、いつまでも消えることのない二本の虹。
世界は、生命は、本当に素晴らしいね。」

バルコニーの扉が開いて、ザンダとユッカが、ムゾール爺が、ルビレムが、サザナイアが出迎えた。

「二人とも、おめでとうー!!」
「ザンダ、ただいま!」
「みんなありがとう!!」

庭園で寝そべっていたライオンのドガァが身を起こし、王者の咆哮を以って祝福する。
獅子の子らも父に続く。

サプライズの花びらがファラとフィヲの上に舞うと、その上空からは美しい花々が、マンダラカの華が、宮殿前広場を埋め尽くすピンクの絨毯のように広がっていった。

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