第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 05 節「妙法広布の大願」
大戦を終え、愛弟子タフツァに黒ローブ残党の就労支援を託したシェブロンは、元同門ヨムニフの最期を伝え聞いて、ヤコハ=ディ=サホの東側山頂を弔(とぶら)おうと言った。
すると、しばらくリザブーグに滞在していた少女モモルが引き止めた。
「先生、ヤコハ=ディ=サホの山頂付近は険しくて危ない所です。
病気になられては困ります。
それより、わたしに“LIFE”を教えてください。」
彼は喜んだが、師ならばどうされるだろうかと考えていた。
あの時、二人の門弟の間に立って軍配を上げてくれた師の顔(かんばせ)が浮かぶ。
『過去じゃない、未来が大切だよ。』
そう言われているようだ。
驚いたことに、モモルは自分一人ではなく、友達を大勢連れてきた。
「お願いします、弟子にしてください!」
「お父さんお母さんにも教えてあげたいんです。」
「お祖父ちゃんお祖母ちゃんにも!」
「先生、どうかお願いします!!」
リザブーグの子らが、ここまで“LIFE”を求め、繰り返し請うとは、ただ事ではない。