The story of "LIFE"

第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 05 節「妙法広布の大願」

第 03 話
前へ 戻る 次へ

あれから体調を取り戻したタフツァは、師シェブロンに命じられて、オルブーム大陸の北にある「闡提嶼(せんだいしょ)」に潜入していた。

本来、複数人で行動することは危険であるが、かつてザベラムに潜入したことのある者どうし、ヤエを伴っていた。

二人は夫婦になっていた。

今回のミッションは、闇の一族の残党たちが何をしているか調査し、悪事があれば対策を講じることだ。

すでに分かっているのは、タフツァが止めたことのある「核融合」の燃料、すなわち放射性物質の採掘である。

多くの従事者は被爆していて、ここの寿命は短かった。

食料調達に出入りする商人に扮しての活動となる。

「米が入りました、いかがですか?」
「おう、くれくれ。」

すぐに人だかりができる。

列を作って並ぶので、ヤエが計量して対価を得ていた。

「ウラン鉱石が売れたんだ。
しばらくは食っていける。」

一体、誰が核燃料など買うのだろうか。

「新しいヘキサゴンの塚守がだいぶ稼いでいるのさ。
おかげでおれたちも鉱石が売れるってわけだ。」

首領を失って凶悪さはないが、やろうとしていることは極めて危険であると言える。

各地で悪鬼を倒して塞いだ「負の六芒星」に替わり、新たな六芒星を描くべく、少なくとも六人の術師が暗躍していることが分かってきた。

「あなた、先にランラ族領へ戻っているわね。」
「ああ、気を付けて。」

ヤエが通信のためにオルブームへ立つと、黒ローブの人々は声をかけた。

「今度は豚肉も頼むよ!」
「仕入れてくるわ。」

前へ 戻る 次へ
(c)1999-2024 Katsumasa Kawada.
All Rights Reserved.