第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 05 節「妙法広布の大願」
ロマアヤ公国西部に位置する光芒岬に、一頭の若い雌獅子がいた。
悪魔使いヨムニフの家系によって種は絶たれたかに思われていたが、ここにもライオンの生き残りが生命を継いでいたのだ。
大戦を終えて帰国したザンダは、無二の親友ドガァを野に放ち、ロマアヤに獅子の繁栄があることを願った。
雌獅子の名はアームルという。
ほどなくして、二頭のライオンは邂逅を果たすことができた。
互いに身を寄せ合い、愛し合い、夫婦となった。
やがて雌獅子は狩りに出掛け、雄獅子は家族を守るという、ライオンの生態が形作られていった。
他にも生き延びた個体が存在しており、彼らは合流して群まで形成できたのである。
数年後、気の強いユッカが、ザンダの手を引いて光芒岬を訪れる日が来た。
二人は少し成長して、交際するようになっていた。
「ほら、言った通りでしょ?」
「あっ・・・!!」
ドガァが身を起こす。
ザンダが思わず駆け出す。
こうして人間とライオンの親友は再会し、頬を擦り合わせて喜び、恥じらいもなく涙を流した。