第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 04 節「元品(がんぽん)の無明(むみょう)」
地上に描かれた少女モモルの“LIFE”と、上空に描かれた天竜八部衆の“LIFE”が、ちょうど中心部を重ねていた。
その上空の魔法陣・中央に、リーシャとユッカが転位してきた。
「抗いますか?
討たれますか?
結果は同じになりますけど。」
グルゴスが手で払い除けようとしたのを、ユッカが飛んでかわし、悪魔王の兜に片足で乗った。
踏まれたので力んで立ち上がり、少女の足を掴もうとすると、ユッカは更に飛んで、魔帝の脳天に短剣からの剣打を見舞う。
兜が真っ二つに割れて落ちた。
今度は下顎を蹴り上げる、掌底で胸央を突く。
衝撃でグルゴスの体が吹き飛び、殴打面が爆裂した。
レンジを詰め寄る、チャクラムを魔帝の首に引っ掻ける、引き寄せて顔面を蹴撃する。
ヒットのたびに爆裂が起こった。
このようにインツァラを込めた体術は非常に効果的だ。
とうとう暗黒の鎧も砕かれてしまった。
神獣マナゾイフノが力を失い、大きく傾く。
「時間がないわ、早くしなさい!」
リーシャにこう言われると、魔帝は心底怯えて顔を伏せた。
伝説の魔法使いムヴィアではないか。
「ちょうどいい、ヤコハ=ディ=サホの分岐した頂点に、それぞれ置き去りにしよう。」
ユッカの悪ふざけだ。
「そうね、あとは現地の人たちに任せるのがいいわ。」
リーシャも同調する。
「悪いけど、今回は付き合ってあげられないので、山頂に刺さってもらいます!」
白く明るい閃光だ。
グルゴスが、ヨムニフが、光となって遠く北西の空まで飛んでいった。
「テンギはカーサ=ゴ=スーダが処分しとくんで!」
「そうそう、片しとくから!!」
北東の果てへ、破れた鬼神が移送される。
「もういいね。
素晴らしい世界が待ってるよ、ファラさん!」
「えっ!?
・・・ああ、ぼくもそう思う。
二人とも、すごい魔力ですね。」
「何言ってるの!
あなたの血に呼ばれて来たんじゃない!!」
強い言い方だが、リーシャは微笑んでいた。