第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 03 節「諸余怨敵皆悉摧滅」
「ヨムニフ、帰ろう。
ラオンジーウ先生の元へ。」
シェブロンが呼び掛けた。
逆徒は暫くうなだれて、冷たい汗を地面に滴らせている。
その時、二人の間にラオンジーウが姿を現した。
とても厳しい顔で、元門弟を見ている。
『なぜ“LIFE”の門弟から悪魔使いが出たのか。
“LIFE”は強い。
外からは破られない。
だから、破られるとすれば内からなのだ。
本来、世界は“LIFE”を破壊せんとするはたらきに支配されている。
この支配に、大多数の者はいとも容易(たやす)く従ってしまう。
支配、すなわち“権力の魔性”。
権勢を誇る者は“魔王”となる。
これに従う者は“魔の眷属”となって“LIFE”を破る。
つまり、“LIFE”を求める者が必ず対決するべき大怨敵こそ、“第六天の魔性”に囚われた“魔王”の存在である。
・・・シェブロンよ、これを打ち破れるか?』
シェブロンは恩師に最敬礼して応えた。
「必ず、打ち破ってご覧に入れます。」
恩師は頷いた後、重ねて問うた。
『何を以って“魔性”を破ろうと言うのか?』
決然と、一番弟子は答えた。
「従わず、非を責め貫(ぬ)きます。
身命を捨てて強敵の科(とが)を顕します。
間断なき闘争を以って、最後の勝利を決するのです。」
初めてラオンジーウが笑った。
『・・・それでこそ、我が真の弟子也(なり)。
聞いた通りだ、ヨムニフよ、奢(おご)るなかれ、侮(あなど)るなかれ。』
相争った教え子らに、師自ら采配を上げてシェブロンの勝利を宣言した瞬間だった。