第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 03 節「諸余怨敵皆悉摧滅」
天竜八部衆によって“LIFE”の布陣が整い、神獣マナゾイフノは浮遊以外の能力を失った。
ただ力なく羽ばたいている。
速攻でヱイユとアーダが二手に分かれ、魔宮に爆撃を加える。
円屋根が破れ、柱が崩れると、自ら壁を壊して破壊神テンギが飛び出し、宙に留まった。
そこへヱイユが剣を交える。
槍で弾かれる。
ナックルで打たれる。
受けて返す。
縦一文字の斬撃が、防ぐ槍に激しく食い込んだ。
「脆いんじゃないか?」
くわっ、と見開き怒りを露わにしたテンギの斧が降り下ろされる。
トリプルソードが着衣を掠(かす)める。
ボウッ、と燃え上がったのは単発の炎だ。
ヱイユが丸ごと吸収した。
「甲羅焼きを知っているか?」
ふいに攻撃型ロニネでテンギの全身を包むと、その内部へズーダを炸裂させる。
温度は人体の極限まで上昇した。
「うぬぬ、小癪な・・・!!」
馬鹿力に任せてザイアで緩和してくる。
ならばこちらもザイアを与えるまでだ。
今度は皮膚が凍り付く低温まで下降する。
トゥウィフを持たない鬼神はロニネを破れなかった。
皆がテンギに気を取られている時に、ザンダが叫び、サザナイアも声を上げた。
ファラも気付いた。
「ヨムニフだ。
フィヲ、先に行くね。」
「待って、私も!」
ヱイユを狙ったヨムニフの詠唱が、暗黒色の現象に変わる寸前で、ファラの強突が届いた。
手で払い除けるようにロニネで受けた術師は、次なる暗黒球を撃ち込んできた。
これはフィヲの無敵バリアに当たり、煙を上げて消えていった。
「ぼくがお前を許すと思うか?
全力で行くぞ!!」
少年に睨まれて、憎悪の中に恐怖が滲む。
“LIFE”一乃太刀がヨムニフを後退させ、二乃太刀がよろけさせる。
三乃太刀で斬り上げられ、四乃太刀で更に打ち上げられた。
五乃太刀、六乃太刀で初めてダメージが入り、七乃太刀で弾け飛び、八乃太刀で魔宮門まで打ち落とされ、叩き付けられた。
だがいかに悪逆の徒といえども絶対に生命を奪ってはならない。
ファラは手加減しないので、フィヲが衝撃を緩和して保護した。
そこへノイが駆け付け、シェブロンが制したのでファラは攻撃をやめた。