第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 02 節「千界の破壊神」
地上に描かれた六芒星・中心部の上空で、負のエネルギー増幅を受けていた天の魔宮は、重なり合う三角形が効力を失うたびに勢力を落とした。
千界の破壊神テンギもまた、六人の分身が次々に討たれると、世界に及ぼす影響力を減衰させていった。
「おのれッ・・・!!
我自ら、その首刎(は)ね飛ばしてくれよう!!!」
ヨムニフは、魔宮の外周に張り巡らした六芒星に自ら充填を行い、その力をテンギに注ぎ込んだ。
「ふははははッ、いいぞ。
殺・滅・失・亡・乱・狂の我が眷属が、集い来るようだ・・・!!」
黒雲が渦巻き、雷(いかずち)が迸り、風雨も逆方向に吹き荒れて、ここを中心とする魔宮外苑の六芒星・各頂点に、一度は倒された鬼神らを召喚した。
「よいか、持ち場を離れるな!
世の一切の怨嗟(えんさ)を、絶望を、憎悪を、地上よりこの城へ集結させるのだ!!」
LIFEの子弟によって、各地で撃破、根絶されたと思われた翼人、魔人、黒騎士、黒ローブ、コウモリ、カラス、毒蛾など、悪魔の眷属が、群を成して魔宮を覆っていく。
神獣マナゾイフノが翼を広げ、大伽藍を上昇させた。
すると魔の跳梁(ちょうりょう)を歓迎するように、天人に似た、色は白く目は赤い魔天女の群が、忌まわしきヘキサゴンの淵辺に舞い降り腰を下ろした。
『終末のヒュルムンよ、誑惑(おうわく)せよ!
血を啜(すす)れ!
生気を奪え!
人間どもを魔王に跪(ひざまず)かせるのだ!!』
これは神獣の声である。
甲高い笑い声を響かせて、ヒュルムンと呼ばれた魔天女たちが呼応した。
彼女たちの姿は、あのヒユルと酷似していた。