第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 02 節「千界の破壊神」
ふらついて倒れたボス鬼の足を掴み、引き摺って、再び穴へ戻す。
ザコを海に沈めてボートへ引き上げたオルグスの隊に代わり、レンガーと隊員がボートから島に飛び移った。
急に目を覚まして襲い掛かるオゴスを、イーゴレーが剣で押し込め、穴深く突き落とした。
そこでレンガーたちの方陣が完成した。
“LIFE”のスペクトルで島を包む。
海から這い上がろうとしたザコ鬼は、手が激しく痺れて逃げ散った。
穴の中では亡鬼オゴスが断末魔の叫びを上げている。
「やるな、イーゴレー!
さあ戻ろう。」
ボートと船でも緑鬼たちは撃退され、住処(すみか)へ逃れた後、島に近付こうとする者はなかった。
虚(むな)しく鳴り渡る絶叫は治まる気配もなかったが、ザブンと波をかぶり、海水が流入して縦穴を埋めると、哀れにも掻き消されてしまった。
「エラを持つようだ。
溺死することはないな。
だが脱出もできまい。」
「そもそもあれは生き物なのか?」
「精神体の悪魔に似ているが、ゴブリン族と呼ばれる魔物だろう。」
そこへ小竜リールが降りてきた。
「おお、いつも助かるぞ。
手紙を書く間、食事にしてくれ!」
リールは釣った魚をもらって、嬉しそうに鳴き声を立てた。