第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 02 節「千界の破壊神」
ミナリィ港からフスカへ向かう船に、レンガーの第二部隊が詰めていた。
これと申し合わせるように、ズマワービ港からミナリィを指して、船上にオルグスの第四棍棒部隊が控えている。
六芒星・南の頂点は海上と思われたが、時折現れる小島のようだ。
フスカ行きの船長は言った。
「あの辺りは船が乗り上げて、昔から座礁することが多かった。
航路は岩場の北側と南側にある。
ボートで降りて戦うか?」
双眼鏡を覗(のぞ)き込むと、緑色の鬼たちが岸壁に座って釣りをしているようだった。
二隻の船が接近したため、無線機で直接会話できるようになった。
『オルグス、奴らを引き受けてくれないか。
空いた所を我々で突入したい。』
『分かった。
少数で乗り込んで、他のメンバーは船から援護するのがいい。』
するとゼネラル=イーゴレーが発言した。
『私がボスを押さえ込んでおこう。
その間に島を平定して布陣してほしい。』
陸地と異なり、ここに留まって封じ続けることは難しい。
作戦の開始間際、緑鬼たちは船に気付いたらしく、泳いで接近してきた。
水夫と騎士たちが迎え撃つ。
一方でボートが運び出され、交戦の裏側から着水した。
ヒレを持つ鬼たちは水棲のようだ。
倒してもキリがないか。
それでもひとたび島に“LIFE”の方陣を形作ったならば、ここが六芒星の頂点として使われることはなくなるだろう。
登り来る悪鬼を叩く。
振り落とす。
あまりの勢いに甲板まで迎え入れて応戦を余儀なくされた。
船上を仲間に任せて、手薄となった島へ接近する。
ボートの接近を感知した鬼が群を成して襲いかかる。
これを撃退する。
レンガーの部隊からもボートが島に迫っている。
鬼が密集して押し寄せた。
この時、オルグスのボートから、鬼たちの頭に飛び乗り、背を足場にして、イーゴレーが飛び移っていった。
島頂部にある縦穴から、三対の腕で這い出てくるボスの姿が見える。
亡鬼オゴスだ。
その正面目掛けて、雷電のような疾(はや)さで斬り込んだイーゴレーは、掴まれそうになるのを掻い潜り、側面から一太刀、背後から致命打を叩き込んだ。