第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 02 節「千界の破壊神」
リザブーグから連絡を受けた魔導騎士長ルビレムは、ただちに南東の頂点へ派兵した。
戦い方は聞いている。
しかし新手の敵だ。
遠巻きに接近すると、黄色い鬼がウロウロと歩き回っているのが目認された。
よほど鼻が利くと見え、LIFE魔導騎士団の活動を嗅ぎ付けて来た。
剣撃また剣撃で退けるが、後から後からキリがなく現れる。
「ここは引き受けよう!
充填を!!」
「頼んだ!」
正八角形の頂点となる定位置へ、駆けて向かう騎士を阻もうと、悪鬼は襲い掛かったが、剣で魔法で撃たれ倒され、辺り一面、立てない黄鬼で埋め尽くされていった。
方陣の頂点へ、一人立ち、二人三人が立ち、六人七人まで立つと、残るは最後の一人だ。
ところが目利きの黄鬼が、彼らにとっての「鬼門」を察知して、執拗に妨害してきた。
そこへ失鬼イムゾも来てしまった。
『喰い殺してくれよう!!』
戦線には戦士ラムフォングも加わっていた。
彼はファラたちとフスカに入り、北上してコダーヴからメレナティレまで旅したのである。
しばらく復興に尽力した後、トーハら技師団の護衛として帰国を果たした。
マーゼリア大陸で戦闘を重ねる機会を得て、個人の腕前が格段に上がっている。
ふいに失鬼イムゾ目掛けて駆けると、素早い剣閃から“LIFE”を込めた一撃を繰り出す。
不覚にもクリティカルヒットを受け、二対の腕を持つ鬼神は半回転して倒れた。
彼の動きを注視していた魔導騎士八人が、イムゾを封じ込める“LIFE”の方陣で捕らえに掛かった。
『おのれ、ぐはっっっ!!』
黄鬼の将もまた、四本の腕を地面に着かなければ行動できなくなった。
「お前に遠慮など要るまい。」
横凪ぎだ。
ラムフォングは間髪入れず、躊躇もなしに手足六本を丸ごと払い除けてしまった。
横転し、じたばたと暴れても力が入らず、やがて仰向けのまま失神した。
「連絡を、頼む。」
ボスが討たれて逃げ散った鬼どもも、残らず追撃され、倒されて地面に転がる結果となった。
ザコの掃討作戦を終え、六芒星の頂点付近へ集合したルビレムは、ラムフォングを見て言った。
「将の器だ。
私と同じ魔導騎士長の称号を受けるがいい。
それから更なる長を抜擢していってもらいたい。」
「はい、LIFE騎士団に劣らぬ陣列を整えてご覧に入れます。」