第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 02 節「千界の破壊神」
ビオムの北、アミュ=ロヴァの西に位置する森の洞穴で、青黒い炎を燃やして異形の影を揺らめかせる赤鬼がいた。
「殺鬼ムッガ」と呼ばれ、頭頂に一本の角と、腕が三対ある。
周辺の森には、腕こそ一対だが、赤い鬼たちが犇(ひし)めいていた。
フォレストリザブルグの砦を守護していた、ラッツピンの第七双剣部隊とバグティムトの第八格闘部隊が遠巻きに陣取っている。
「一気に片を付けようか?」
「八人で布陣して、ザコを掃討しよう。」
「よし!」
北側へ回り込む隊員が、赤鬼に遭遇した。
隊長バグティムトは、テンギすら退(の)け反(ぞ)らした豪腕に“LIFE”を込めて、容赦なく打ちに行った。
棍棒を振り上げた鬼のボディが打ち上げられ、後方へ押し倒される。
ゾロゾロと集まる鬼を引き受けるメンバーと、布陣するメンバーに分かれて応酬となった。
最初、怒りに駆られて襲ってきた鬼も、仲間が一鬼討たれ、二鬼倒されるのを見て、怖じ気づいてきた。
そこを討ち取る。
布陣が成って、充填が始まると、逃げ腰に追い討ちをかけるように業苦が苛(さいな)んだ。
「ウ、ウグゥワェー!!」
助けを求めるように天を仰ぎ、手を上げ、呻(うめ)きまわる惨状となった。