第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 02 節「千界の破壊神」
早くも決行前日の午後には異変を察知する者がいた。
老婆ヴェサは目が不自由になり、従者に助けられなければ歩行ができない。
それでも、フィヲの所へ連れて行ってほしいと言って聞かなかった。
「フィヲや。
・・・おぞましい六芒星の逆方向魔法陣が描かれている。
それもただの術士が作った方陣ではなさそうだ。
まさに地獄の悪鬼どもを束ねる『鬼神』が、各頂点にいるらしい。」
「ええっ!?
どうすれば・・・。」
「どの頂点も、並みの術士には倒せないだろう。」
ファラは老婆の言う通りだと直覚して、方位を探った。
怪狼ヴィスクと妖孤ラナシーヴ、翼竜ニムオーを放つ。
そこへザンダが血相変えて飛び込んできた。
「ファラくん、マジでヤバいのが出てきたみたいだ!
船乗り達も、邪悪な気の流れを感じ取ってる!!」
「そうか・・・。
逆方向魔法陣がある限り、明日の戦いも不利になる。
倒すしかない・・・!!」
ヴィスクから映し出される景色は、元いた山の祠へ向かっているらしい。
「正確な巨大六芒星をそう簡単に形作れるものじゃないな。
使い古し、つまりいつも使っている方陣だ。」
フィヲが地図を見ながら頂点の位置を探る。
「ビオムの北に一つ。
ロマアヤ領内に一つ。
リザブーグ領内に一つ。」
ザンダも指差して言った。
「オルブーム、カーサ=ゴ=スーダ、最後は・・・、フスカの南方、海の上か!?」
どのエリアにも仲間がいる。
しかし直接頂点に迫るのは危険過ぎる。
「各頂点を“LIFE”の方陣で封じ込めよう。
発動すれば各個撃破できる!」
こうして戦いは、召集を受けたメンバーだけでなく、各地へと広がったのである。