第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 02 節「千界の破壊神」
「フィヲの八匹の竜に、乗員を決めて援護してもらう方針はそのままでいいと思う。
待避するのも自分でできるからね。」
彼女はうんうんと言いながら、ノートに配置図を描いた。
「問題は突入するメンバーだ。
ぼくとフィヲ、先生とノイさん。」
人員は最小限とし、全員が生還しなければならない。
「七虹龍に、お二人の脱出を託して・・・。」
「難しいのは、敵をどう助けるか、かしら。」
地上にあって、“LIFE”の魔法陣から呵責を加えることは、敵本人の罪業によるものであるから、苦しむに任せておけばよい。
だが今回は空中戦であり、倒した後も、救出してやる必要があった。
「城が爆発でもしたら、助ける手立てがないな・・・。」
しばらく黙って考え込んだ。
「やっぱり、外で戦おうか?
最初から建物を壊して、神獣の上で戦う、とか。」
「・・・そ、そうか!
兵器を搭載した浮遊装置はもうない。
外壁を壊して外におびき出すだけなら、手っ取り早いかも。」
二人は顔を見合ってはしゃぐように笑った。
「神獣は、なぜ魔族の味方をするんだろう。
元々世界を構成する力だよね?」
「まだちゃんと見てないけれど、悪用されているだけじゃないかと思うの。」
「本来は“LIFE”を願い、守護するはず。
それを狂わせるとは。」
「長老の森でさえ、操られた獣が仲間を誘って、毒され、破壊されてしまった。
逆方向魔法陣の害毒は自然界や神々までも乱してしまうんだわ。」
ドアをノックする音がした。
フィヲが返事をして開けると、ヱイユが声をかけてきた。
「おう、会議か。」
「ひゃっ、え、ヱイユさん、・・・ご無事で。」
ファラはにわかに心強くなって、戸に駆け寄った。
「お体は、大丈夫ですか!?」
「ああ。
LIFE騎士団がビオムに入った。
役目は終えたよ。」
フィヲはおずおずとイスを持ってきて勧めた。
「俺が先生とノイさんをお護りする。
神獣を撃破して七虹龍の上へ引っ張り、そこで戦えばいい。
あとはお前が存分に戦えるようにするんだ。」
「は、はい!!」
これでLIFEの総力戦を挑める。
未知の敵が現れたとしても、必ず勝たなければならない。