The story of "LIFE"

第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 01 節「師敵対を弔(いぐる)む」

第 13 話
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最近になって、フォレストリザブルグの砦は異変に見舞われていた。

地中に埋もれていた動物の骨や人骨が、起き上がり動き回って、LIFE騎士団と交戦しているという。

死んだ旧王国騎士と思われる骸骨兵らは、思いの外、手強かった。

パタパタと音を立てて、大型小型のコウモリが無数に舞い飛ぶ。
これらも防がねばならなかった。

精神的にも肉体的にも疲弊したタフツァの夢に、黒翼の悪魔が降りてきて告げた。

『核融合を以ってここを焼き払う。
死にたくなくば退避せよ。』

悪夢から覚めた彼は、まだ外が暗い時間帯だけに、応答はないだろうと思いながらも、リザブーグに通信を試みた。

だがすぐに衛兵が出て、起床していたシェブロンに取り次いでくれた。

「・・・先生、わたしは少し疲れているのでしょうか、良くない夢を見ました。」
「遠慮することはない、どんな夢だった?」
「悪魔が砦を、焼き払うというのです。」
「意識の中に入り込んでくる悪魔がいる。
魔宮を攻める前に、空からも君の砦を防衛するよ。
これまで通り護りたまえ。」
「ありがとうございます、ご心配をお掛けしてしまい・・・。」
「気にするな。
そこが一番危険とも言えるんだ。
自信を持ちなさい。」
「・・・はい!」

この日、タフツァは騎士たちに周知徹底した。
自分だけの認識に止(とど)めては、有事に申し訳が立たないからだ。

「よく聞いてくれ。
ここは魔族の砲撃を受ける危険がある。
ファラ君たちが総勢で護ってくれるが、防ぎきれない場合、全滅もなくはない。
・・・家族のある者、ここで死ねない者は、砦から離脱してほしい。」

これほどの通達はなかなか出されることがない。
最初は動揺が広がり、誰もが一度は進退を考えた。

しかし、騎士がひとたび護ると決めた死地を離れて為すべきことなど何もない。

誰一人として去る者はなかった。

仲間の有り難さに、タフツァの闘志が燃え上がっていた。
彼は自ら砲撃を迎え撃つ覚悟で、守りに徹するのではなく攻めに転じようと思った。

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