第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 01 節「師敵対を弔(いぐる)む」
こうして七匹の竜は、あるいは大型のまま背に鞍を着けて、あるいはソマを迎えたように小型化して、術士と戦士を各地から集めてきた。
魔法使いは鞍がなくても振り落とされることはないため、呼び手のフィヲが使い分けたのである。
ミナリィ港でノイ、ヘルド、エナを迎えたのは、リョジーブの第十三部隊と、白竜レナフィーも直々に遣わされていた。
「かわいい竜!!」
フィヲが手紙を持たせていた。
『エナちゃん、初めまして、フィヲです。
レナフィーが大きくなって運びますから、ロニネで空気を防いでノイさんと乗ってきてください。
ダメならレナフィーにそう言ってみて。
お会いできるのが楽しみです。』
エナは、“LIFE”の魔法陣を見つけ出したという、憧れのフィヲに呼び掛けてもらえたのが嬉しくてたまらなかった。
「大丈夫よ、ノイさん、乗ってみよう!」
少女はロニネだけでなく、レナフィーとぴったりくっつく「ゾー(重力)」を使って振り落とされないようにした。
空へ舞い上がると、ここまで護衛してくれたヘルド、リョジーブの隊員たちは歓声を上げ、手を振って二人を見送った。
「エナ、七虹龍ギロス=モルゾムは何か言っていないか?」
「レナフィーとの会話が聞こえる。
魔宮を外側から攻撃するって。
ギロスにはファラさん、フィヲさんが乗りたいって。」
「まだ実戦に慣れていないから、地上で七虹龍を操るのがいい。
先生とスヰフォス殿、ナズテインがいるリザブーグ本営を一緒に守ろう。」
「う、うん!」
彼女はファラたちと共に激しい空中戦となることを覚悟していただけに、地上からと聞いてホッとした。
島を護りたい一心で黒龍の大群を撃退したが、元より好戦的な性格ではないからだ。