第 12 章「八葉蓮華の妙法」
第 01 節「師敵対を弔(いぐる)む」
オルブーム大陸ランラ族領では、サザナイアが新たな四部族の長と協議を重ねていた。
魔族との戦闘にあって、彼女の右腕のような存在は、タウサー族出身の女性戦士テインナインだ。
『私が領内に“LIFE”を広める。
アゴーと手を携えてヤコハ=ディ=サホとオルブームを守る。』
また左腕のように支えてくれるのはロットラムというランラ族の女性戦士だった。
『“LIFE”でランラを強くする。
もう一度、長老の森を育てる。』
すっかり意思の疎通が取れるようになったサザナイアが微笑んで応える。
「みんなありがとう!
私はオルブームに残って剣士を育てるわ。」
歓声が沸き起こった。
ワリヒ族の男性戦士ヴォダパンは、両腕を上げて喜び、感謝した。
『俺たちは強くなるぞ、オルブームのために、世界のために!』
オオーッ、と賛同の声が響き渡る。
アゴー族の男性戦士オドニーゾは、部族の若者と総立ちになり、ワリヒ族へ心からの拍手を送った。
元々同盟関係ではない。
しかしこの時、四部族間には新しい「オルブーム同盟」と言うべき絆が生まれていた。
ロマアヤを代表してザンダが立った。
「オルブームのみんな、ロマアヤもきっと復興して“LIFE”の国にしてみせる。
貿易と戦士の交流で、一緒に発展していこう!」
男女四人の族長が手を重ね合い、そこへザンダも手を重ねた。
そして『そうだー』と声を揃えると、周囲の四部族の老若男女、ロマアヤ兵、全ての人々が呼応して叫んだ。
うねりのような歓呼の声はこだまして、オルブーム全域にも届くように思われた。
ヤコハ=ディ=サホの守護神ガルーダも、金色の翼を広げて賛嘆する。
「あれはヱイユさんか!?
・・・いや、召喚してくれているんだ。
オルブームのために。」
「まだソマさんと、私の故郷ビオムにいらっしゃるはずよ。
村を守ってくださったんだもの。」
ライオンのドガァも、随行したロマアヤの家臣たちも全員いたが、ファラとフィヲの姿が見えない。
二人は小竜リールの導きにより、すでにリザブーグ城へ向け、飛び立っていた。