第 11 章「究極の魔法」
第 07 節「ルング=ダ=エフサ」
七虹龍(しちこうりゅう)となったギロス=モルゾムは、羽ばたき地上に降り立って言った。
『参った!
素晴らしい魔力だ。
カーサ=ゴ=スーダの血か?』
少女は首を振って答えた。
「わからない。
けど、“LIFE”はルング=ダ=エフサの非魔法場よりも強い力よ。」
龍王は声を上げた。
『ハッハッハッ!
魔族も畏れて近寄らぬこの島を、竜族こそが治めてみせようと攻め寄せたが、却(かえ)って人間の娘一人の手で、全滅の憂き目を見るとはな。
だが見事、我が身ももはやメゼアラムの中でしか存在できぬ。
どこまでも“究極魔法則”と共に戦おう。』
すると、世界各国を巡り、“LIFE”に目覚めた人々を守護する力用(りきゆう)となって時に現じ、時に戦況を動かした八匹の竜が舞い降りて来た。
『天龍八部衆。
お前たちが“LIFE”守護を誓いし同胞か。
ならば共に力を合わせ、諸々の怨敵を滅ぼさん・・・!!』
呼応した八部衆が鳴き声を揃えると、まるでコーラスのように美しい音色となって響いていった。
『我(われ)、「天宮魔神殿」への扉を開かむ。
諸々の悪魔、夜叉(やしゃ)、鳩槃荼(くはんだ)等が競うとも、八部衆の威光を以ってすれば何かせん。』
ノイが駆けて来た。
「竜族の王よ!
魔王の根城はどこにある?」
地表を巻き上げるような旋風が、落ち葉を吹き飛ばす。
『汝は猛き者なり!
然(しか)なりと雖(いえど)も、魔宮に踏み入ること能(あた)わず。
現象を伴わざるの為(ため)の故(ゆえ)なり!』
今や“LIFE”は万人に開放され、非魔法使いの騎士や戦士らにも起こすことが可能となった。
それは宇宙の生命であり、星の生命であり、生きとし生きる万物の生命が、同じ“LIFE”という妙法によって貫かれているからに他ならない。
だが龍王は、現象を起こせなければ決戦に挑めないと言う。
「やはり彼らに託すより他ないか・・・。」
無数のLIFE騎士を育て、後世までも師に連なる直道を開いたノイである。
その功績を以ってしても、師と不二の道を開くには及ばないのか。
「否、そこへ続かせてもらえばいい。
子の中、孫の中から、きっと不二の使命を持つ“LIFE”の行者が無数に現れることを疑うまい・・・!!」