第 11 章「究極の魔法」
第 07 節「ルング=ダ=エフサ」
村を狙っているのだろうか。
あるいは通り過ぎて行くだけか。
としたら、どこへ向かっているのか。
夜営に強い人々だ。
洞窟内にいれば心配ないだろう。
夜が明けるまで待ってもいいが、交代で休めそうにもない。
避難誘導を終えてゼストが合流した。
「ノイさん。
馬で囮(おとり)になろうか?」
「数が数だ。
奴ら戦闘ともなれば悪魔ほどに獰猛だろう。」
その時、バサバサと一匹が舞い降りて来た。
ノイが躍りかかるが速いか、胴を突かれた黒龍はノックバックして転がった。
二匹、三匹と降りて来た。
ヘルドが槍で落とす。
ゴアが剣で薙ぐ。
騎馬のゼストは弓矢の達人だ。
地上の三体を素早く射貫き、空の二体を射ち落とす。
敵も総勢となった。
ヘビのように腹で土の上を這い回り、砂埃を巻き上げて視界を遮るものもいる。
ダンゴムシのように丸くなって転げ回るものもいる。
翼を振り回して気流を乱すものもいた。
一体倒し、二体倒してもキリがない。
ヘルドの槍が掴まれて、体は宙に放り上げられた。
ノイは竜の背に乗って駆け上がり、ヘルドを捕食しようとする個体を撃退する。
次の個体が急降下でノイを狙う。
ゼストが矢を放つ、二体、三体と撃ち飛ばす。
ゴアは戦場から離れた所にキャンプファイアを起こした。
照らし出された地上は、空は、まだ数えきれない竜族が犇(ひし)めく恐るべき光景だった・・・。