第 11 章「究極の魔法」
第 07 節「ルング=ダ=エフサ」
「ノイさん、精が出ますなー。」
ウェル爺が声をかけた。
少年ニルーが、ノイとルオの打ち合いをじっと目で追っている。
ルオの剣線は鋭い。
シャッ、シャッ、と空気を切る。
当たらないのはノイが身でかわしているからだ。
剣打を受ける消耗と、身でかわす消耗は、力の差によるのだ。
重い打撃はダメージにもなる。
かわすことで回避できる。
軽い打撃ならば受け返すほうがよい。
今ノイは、回避の高い相手に当てにいく特訓を与えていた。
「必ずしも倒せる相手とは限らない。
しかし凶悪な敵でも“LIFE”を以ってすれば打ち破ることができる。」
ルオはまだ、剣の速さに“LIFE”が追い付かなかった。
「おーりゃあああ!!」
間合いを詰めた、力いっぱいの薙ぎが来たので、ノイはかわさず受けることにした。
カーン!
少年は打った力に倍する威力で吹っ飛ばされた。
ドシン!
「痛てぇ!」
「強く打ったな、骨は大丈夫か!?」
「うん、しりもちだ・・・。」
「では丸太に向かって“LIFE”を込める練習!!」
少年は、やはり悔しくて、痛みに紛れて涙が出た。
だがすぐに起き上がって、言われた通り丸太を打ちに行った。
「コーチ!
おれも。」
ニルーが木刀を握って稽古をせがむ。
熱心なルオに空振りばかりさせて反省したノイは、今度は自ら“LIFE”を込めた剣打を見せようと思った。
実戦のように強く当てなくとも、“LIFE”を体感させられると考えたからだ。
剣と剣、最初の交差でニルーの剣が飛んでいった。
ノイにしてみれば、構えていたところへ少年の剣が当たっただけの力しか込めていない。
「あーっ、全然だ、おれも丸太!」
まだ幼い彼には、七色の光がはじけたのが分からなかった。