第 11 章「究極の魔法」
第 06 節「ロマアヤ諸国連合」
旧軍都シャムヒィの南方へ出て、中原(ちゅうげん)を埋め尽くすセト兵の大軍を引き連れ、大将ズンナークは吼(ほ)えた。
「殲滅(せんめつ)だ!
“LIFE”を忘れるな!!」
怒号だけで粉砕される魔族が後を絶たない。
彼の声にも“LIFE”が込められているからだ。
左将軍リルーの一太刀に十の悪魔が消え去り、右将軍オオンの旋回が範囲斬となって黒翼という黒翼を巻き込んだ。
短剣とチャクラムを巧みに操る魔法戦士の少女ユッカが駆ける。
「ほらッ、来い!
これでも食らえ!!」
バチバチと火花を散らしてチャクラムが魔族を斬り裂く、打ち落とす、逆手に構えた短剣で突き上げる。
輪をキャッチする、悪魔に飛び乗る、角を掴んで蹴撃する、短剣から雷電を迸(ほとばし)らす。
魔法少女モモルが詠唱している。
大地にはっきりと文字を刻んで、フィナモ(炎)、ズーダ(熱)、ドゥレタ(地)、ググ(磁)、パティモヌ(水)、ザイア(冷)、クネネフ(風)、テダン(電)が描かれる。
更にはインツァラ(爆)、グルガ(滅)、ロニネ(壁)、ゾー(重)、テティムル(吸)、ドファー(変)、メゼアラム(喚)、トゥウィフ(衝)の文字も現れた。
半径が実に大きい。
彼女を中心とした、バトルフィールド全域に及ぶ魔法陣が立ち上がると、そのまま七色の筒状に天まで突き抜け、敵味方全てを包み込んだ。
味方はヒーリングを得て力を増す。
そして悪魔の大群は壊滅状態に陥った。
元々セト国に魔法使いはいない。
彼女らはカーサ=ゴ=スーダから修行の旅でシャムヒィを訪れていた。
魔導着のアルベク市長が叫んだ。
「決着の好機です、逃してはならない!!」
杖のひと振りでヴォルテクスを起こす。
悪魔の残骸は消し飛んだ。
遥か南方から、この掃討作戦の掉尾を飾るルビレムの魔導騎士団が攻め上がってきた。
追われて北上する魔族の群は散り散りとなり、そこを討たれ、射落とされ、魔法で地に落とされ、散々に斬られて、後にも残らず消滅して皆果て事切れた。