第 11 章「究極の魔法」
第 06 節「ロマアヤ諸国連合」
キャプテン=レスタルダがウズダクの船乗り衆の力を集結して、“LIFE”を込めた丸太を強靭な綱(つな)で引き、空に舞い遊ぶ悪魔の頭領目掛けて撃ち込んだ。
巨大な二重の虹がはじけて黒翼は乱れ飛ぶ。
「お前たち!
見たか、ただ戦うんじゃねえ、“LIFE”を込めろ!!」
大小の悪魔の群がヒムホーンの丘を急襲する。
個々の黒翼に、サーベルを引き抜いた海の男たちが殺到した。
斬る、薙ぐ、打つ、叩く。
初めて実戦で放った彼らの“LIFE”は、どれも素晴らしかった。
「本当だ、おれにもできた!」
血の気の多い元海賊たちは、こんなにも世界のために尽力できるのかと驚き、戦えることを喜んだ。
次の弩(ど)が勢いよく打ち上げられると、この群を率いて来た悪魔王は撃ち抜かれ、地上に降りる前に海へ転落していった。
その模様の報告を逐一受けながら、ズマワービでも、おびただしい数の悪魔をヌダオン=レウォとメビカ船団が迎え撃ち、取り囲み、滅尽していった。
モアブルグ出身の女性魔法使いクローワは呼び掛けた。
「みんな、“LIFE”よ!
剣だけでは倒せない!!」
その声に、苦戦し押されていた船乗りが、思いきって教わった通りの虹を剣撃に込めてみた。
すると強かった相手がひるみ、退き、押されていった。
アミュ=ロヴァ出身のオリーヴァの声が響く。
「さあ、全力で押し返しましょう!!」
おおおー、と喊声(かんせい)が上がって、怒濤となった。
久方ぶりの戦闘に、セトのジシュー将軍は本領を発揮し、暴れに暴れ、魔族を討ち取ること数百に及んだ。
その勢いに、全軍は攻め抜く以外の力がはたらかなくなっていた。
悪魔の大軍を圧する、人の波がなだれ込んで、黒翼の降り立つ所、降り立つ所にひらめく剣閃、飛びかかる強斬は七色の光をキラキラと輝かせていった。