第 11 章「究極の魔法」
第 06 節「ロマアヤ諸国連合」
古来、大セト覇国に属したウズダク海軍、対するロマアヤ王国と友好的だったメビカ船団は、今や互いに手を取って「ロマアヤ諸国連合」という共同体を形成するに至っていた。
旧リダルオ南征衝と旧ジ=ヅール堰の間に通信が開通すると、両国民は白い鳩を放って祝賀した。
新ロマアヤ宮殿とシャムヒィ暫定政府が直接会話できるようになったのだ。
またワイエン列島も、ズマワービとスタフィネルの間で通信が可能となった。
更にブイッド港の南西に位置する「光芒岬(こうぼうみさき)」と、ウズダク領「ヒムホーンの丘」に技師トーハが開発した無線通信を実現したことで、連合国全域に通信網が巡らされたのである。
首長であるヌダオン=レウォ、キャプテン=ハムヒルド、アルベク市長、そして魔導騎士長に就いたルビレムが、通信網に続いて魔族に対する包囲網を構築するため協議を重ねた。
アルベク市長がリーダーシップを発揮する。
『国民一人ももれなく、魔族から身を守る術(すべ)を、つまり“LIFE”を身につけるべきです。』
ルビレムも発言する。
『攻守一体の防衛態勢を敷きたい。』
ヌダオンは熱弁した。
『今でも忘れない、リザブーグ中に“LIFE”が広まった光景を、連合諸国の若者に伝えてやりたい。
人間は魔族に勝てるということを体験させたいんだ!』
すでにヒムホーンへ布陣しているレスタルダに替わって、ハムヒルドが応じた。
『お頭、まったく同感ですぜ。
今、レスタルダが親方衆と若い衆を引き連れて“LIFE”の野外訓練中だ!
オレは柄にもないことだが、学校で“LIFE”の話をさせてもらってる。』
過去に地上を壊滅まで追いやった悪魔の大軍を、今度は官・民・軍が力を合わせて迎え撃つという。
指導者たちが生き生きと語り、自信を与えるように教える“LIFE”は、人々の心から畏れを消し去り、己心の魔と対決する勇気を奮い立たせていった。