第 11 章「究極の魔法」
第 06 節「ロマアヤ諸国連合」
この頃、メレナティレから派された技師の一団が、セト国の首都シャムヒィを訪れていた。
それは広大なイデーリア大陸に通信の技術を売り込みに来た、トーハの一行だった。
暫定政府のアルベク市長は戦前、ロマアヤ大学に留学し、ラオンジーウの魔法学を専攻したが、帰国後に捕らえられ、投獄されていた人物だ。
「LIFEのメンバーとお会いできて光栄です!
私はラオンジーウ先生をお慕いして青年期をロマアヤで過ごしたのです。」
「そうでしたか!
弟子のシェブロン先生が教え子を各地に遣わしたことから、世界に“LIFE”が広まりました。
わたしは魔法使いではありませんが、リザブーグの技師として先生を陰で支持させていただきました。」
「誰もがLIFEに反発し、迫害した時代からのご功労とうかがっています。
ロマアヤにLIFE思想とラオンジーウ先生を宣揚されたのは、他ならないシェブロン先生であったことも知りました。
LIFEの師弟はまことに強い。
私はセト国の出身ながら、ゼオヌール公のことも大変尊敬しております。」
トーハは率直に、この人物とならイデーリア大陸は万事上手くいくと思った。
あの戦役をも、大悪から大善に変えていけるだろう。
そして本題を出した。
「今日お伺いしたのは、軍事拠点間をつなぐ電気ネットワークを、平和的に民間利用させていただきたいというお願いでした。」
「それは素晴らしい!
軍隊縮小の一環として、電気ネットワーク事業を発足させましょう。」
こうして、難関と思われたセト国との交渉が成立し、返って大きな協力まで取り付けられたのである。