第 11 章「究極の魔法」
第 06 節「ロマアヤ諸国連合」
メビカ船団の頭領ヌダオン=レウォは、ここを発った時よりも若々しく、光輝に満ちていた。
帰還して早々に街を出歩く。
同行となったジシュー将軍も、今頃パブで“LIFE”を語り込んでいることだろう。
中心市ズマワービは、フスカ港やルモア港から来た船乗りたちでごった返した。
彼は気さくに声をかけるようになった。
以前なら周囲に近寄り難い印象を与えたものだ。
「ようこそメビカへ!
何か困ったことがあれば言ってくれ。」
レボーヌ=ソォラから魔法修行の旅で滞在中の娘が二人、微笑んで応えた。
「良い所ですね、景色が綺麗!」
もう一人が言う。
「まだ男の人が偉いのね。
奥さんがたの意見を取り入れたら、もっと良い国になると思うわ。」
確かにワイエンは男性社会なのだ。
もし、ロマアヤへ、リザブーグへ行かなければ、女たちなど戦(いくさ)にも向かず、船乗りにも向かないと、その価値を過小評価したままだっただろう。
しかし彼はサザナイアやルアーズの勇敢さ、計り知れない強さに舌を巻いた。
何より驚いたのは、ロマアヤで敵味方に犠牲を出さず、大軍を幾度となく破ったファラとフィヲの不思議な力だ。
幸運にも彼らの師シェブロンに教えを乞うこともできた。
過去のリザブーグを知っていただけに、国民が主体となってシェブロンを迎えた光景は今も胸に焼き付いて離れなかった。
光輝に満ちた夢のような日々から帰国してみると、彼自身も“LIFE”の一分(いちぶん)を得ていることに気がついた。
そして心に決めたのである。
『メビカとウズダクは力を合わせてワイエンを“LIFE”立国へと発展させよう。
ハムヒルドもきっと協力してくれるに違いない。
先祖の誇りも高い操舵の技術を生かして、国際協力と交流の力になりたい。
そのために若者を育てるのだ!』
レボーヌ=ソォラはタフツァやソマの受難を越えて、世界に先駆けた“LIFE”立国の歩みを開始したという。
目の前の彼女たちに聞いてみたくなった。
「お二人はシェブロン先生をご存じですか?」
顔を見合わせて驚いた直後に笑顔がはじけた。
「ええ!
わたしはヤエさんから“LIFE”の話を聞きました。
まだメレナティレが帝政だった頃です。」
「私はソマさんに魔法を教わったの!
当時は究極魔法陣がなくて、守ってもらうばかりだった。」
「そうでしたか。
近々、魔の一族と対決しなければなりません。
メビカに“LIFE”を広めるのに力を貸してもらえませんか。」
「もちろん、そのために来たのよ!」
女性の名はオリーヴァとクローワといった。