第 11 章「究極の魔法」
第 05 節「レボーヌ=ソォラ」
隠密行動を得意とするレンジャーのピスム、忍者ワダイルがモアブルグに向けて早馬を駆った。
それぞれ馬を御したほうが馬車より機動力に優れるからだ。
サウォーヌの詰所(つめしょ)のドアが開いて、舞踏剣士ベーミラが走って来た。
「ヤエ!
ここに電話を引いてくれるんですって。」
「あの、声が届く機械?」
「そう!!
さっきモアブルグのゴーツさんと話したわ。
あんなによく聞こえるなんて!」
アミュ=ロヴァでは拠点間の通信に電話が使われていたが、主に軍事目的であり、民間への開放は最初となる。
サウォーヌと巡査隊が直接やり取りできることはありがたかった。
今日はデグランが久し振りに街頭パフォーマンスを行っている。
これには情報収集と街の動向調査、不穏な動きへの監視、子供たちの支持を得る、といった意味がある。
もうすぐ午後の授業が始まる。
教員たちにはLIFE教育の全てを託してあったが、今世界で起こっていることと“LIFE”の関係を、ヤエ自ら教壇に立って講義する予定になっていた。
「あまり時間はないけれど、レボーヌ=ソォラ全域が攻撃対象になり兼ねない以上、一人でも多くの人に“LIFE”の主体者になってもらわないと。」
窓辺に立って街の様子を眺めていたベーミラがつぶやく。
「ダンスの教室でも始めようかしら・・・。」
「うん、いいと思う!
生徒の募集を始めたら?」
「その前に教室かなあ・・・。」
「いいのよ、青空教室で!!」