第 11 章「究極の魔法」
第 04 節「ポートルモア」
さっきとは打って変わって、クザムナリスは目を吊り上げ、赤く光らせ、威嚇するように叫んでから、言葉を喋った。
『キサマラ、皆殺シダ。
天ニ召サレロ。』
空気を裂くように、轟音を響かせながら、霊獣は港街の上空へ至り、黒い大きな影をはためかせた。
アンバスと目が合った。
青年魔法技師の目は激怒して燃えていた。
その鋭い目線を反射的に避け、一瞬、目を閉じる。
次の瞬間、眼前にルアーズが飛び込んで来て、下顎が蹴り上げられた。
退け沿って頭を浮かせた所へ、更に脳天へ踵が炸裂した。
巨獣といえど、“LIFE”を込めた強蹴を急所に二回も受けては堪(た)らない。
埠頭に落下して両手を着く。
積み荷が崩れて瓶類が割れた。
足元の石材は砕けて、霊獣ごと海へ落ちかけている。
「ルモアに、二度と現れるな!」
アンバスの砲口が宙に描かれる。
クザムナリスの全身を捉えるほどの大きな“LIFE”の魔方陣だった。
七色の円筒が走り、霊獣を飲み込むと、海を越えてワイエン列島の彼方まで突き抜けていった。