The story of "LIFE"

第 11 章「究極の魔法」
第 03 節「ビレッジビオム」

第 07 話
前へ 戻る 次へ

「パナさん、ですか・・・?」
「わたしはパナ=リーシャ。
カーサ=ゴ=スーダから来たの。」
「髪の色まで、そっくり・・・。」
「えいゆ、さん。
ソマさん、ムヴィアをご存知ですか?
故郷の母たちが、ムヴィアを願ったの。
世界に魔性が蔓延(はびこ)る時、ムヴィアが生を受けて、封じてしまうんですって。」
「それがカーサ=ゴ=スーダの願い・・・。」

一人進み出たリーシャが、手を差し出して言った。

「村に帰りましょう。
故郷に伝わる魔性の秘密をお話しします。」

引き返す道々、少女は少数民族の伝承を諳(そらん)じていった。

「千界に妙法が流布して、魔王の勢力が衰えると、家という家には妙法の灯(ひ)がともり、子供たちは心安らかに、健やかに成長する。
世界は妙なる七つの音声(おんじょう)、七つの音色に包まれる。
風と波は穏やかに、大地は安定して、豊かな実りをもたらす。
人の心は平(たいら)かに、天衆は歓喜して雅楽を奏で、マンダラカの華を雨(ふ)らす。
・・・
いつしか魔王の勢力が隆盛すると、暴風は吹き荒れ、高波は岸辺を脅かし、大地は猛り狂って激震する。
人心は荒(すさ)み、相争い、他者を陥れようと隙を窺(うかが)う。
魔王は空閑(くうげん)に住する。
その名も天宮魔神殿。
・・・
行動する者よ、世界の隅々にまで、妙なる正法の光が照らすまで、“LIFE”の歩みを止めてはならない。」

前へ 戻る 次へ
(c)1999-2024 Katsumasa Kawada.
All Rights Reserved.