第 11 章「究極の魔法」
第 03 節「ビレッジビオム」
「あの灰色の竜は仲間よ、ヱイユ君だわ!」
「えいゆ、くん・・・!?」
ソマがアーダを取り囲んだ魔族、竜族をゾーで落とす。
そして大声で呼んだ。
「こっちよーッ!!」
相当数を倒したのだろう、ヱイユは標的にされている。
「その人を、放しなさい・・・!!」
リーシャが杖を振ると、ヱイユの周囲に円が広がり、円周を埋め尽くすメゼアラムの魔法陣が光った。
群がった悪魔も、竜も、魔獣も、鞍を返して同族に牙を剥いた。
「おおっ、・・・助かった?
あ、あれは一体・・・!!」
上空から見ても凄まじい魔力を集めては放ち返す、魔法使いの姿が目に飛び込んだ。
しかも、少女のようだ。
「えいゆ、さん、大丈夫ー!?」
この声は・・・。
不意を突いて襲いかかる魔獣を、更にリーシャが雷で打ち落とした。
「早く、こっち・・・!!」
丘の上に悪魔が降り立つと、メユウは杖で退け、ルクトは剣で両断した。
ソマが村全体を守る大規模なバリアを展開して手が回らない分、少年少女たちは実に勇敢に戦ったと言える。
ヱイユも丘に降りた。
あまりの数を相手にして、消耗し尽くしていたのである。
「えいゆ、さん。
よかった。
もう心配いらないわ・・・!!」
さすがの闘神も、思いがけなくムヴィアに再会したような懐かしさで全身を包み込まれて、リーシャの前に両手を着き、子供のように泣き崩れていた。