第 11 章「究極の魔法」
第 03 節「ビレッジビオム」
そこへ、いつものように森で剣の稽古をしていたルクトが、息を切らして駆けてきた。
遅れて少年イズも来た。
「大変だ、黒い翼が、空いーっぱいに、こっちへ向かってる!」
「大きいのもいた、竜もいた!」
「なんですって!!
ついに来たわね、二人とも、“LIFE”の虹を忘れないで!」
「わかった、わたしも戦うから!」
なんて負けん気の強い子だろう。
メユウはやはり幼少時のソマにそっくりだった。
「イズ!
村の人たちに、建物から出ないで、って言って。」
「わ、わかった!」
「あなたもお母さんを守るのよ。」
「この形を剣に込めるの。」
「虹が、二つ・・・?」
「そう。
頭に思い描いて、私の杖を打ってみて!」
カン、と鳴って虹がはじけた。
「上手よ!
これで家族を守るの。」
「わかった、ありがとうおねえちゃん!」
駆け出しながら村人に呼び掛ける少年の姿がたくましく見えた。
「森の上を見ろ、竜が来たぞー!
家に隠れろー!!」
ソマは大地から、森から、大気からエネルギーを集めた。
そして村全体を包む“LIFE”の一方向性・攻撃型ロニネを形作った。
七色に輝くエネルギーの流れがうねりとなっていく。
ビオムを取り巻く環境の全てが村を守る力となって働いた。
「さあ、丘の上へ・・・!!」
メユウが駆け出す。
リーシャがすぐ後ろに続く。
ルクトも剣を構えて走る。
最初の悪魔が道を阻んだ。
メユウが一瞬、物怖じする。
ルクトも様子を見ている。
初の実戦だ。
リーシャがゾーを放った。
魔法陣が浮かび、メゼアラムが発動した。
『この子、いつの間に・・・!?』
操(あやつ)り返された悪魔が空へ舞い上がり、元の仲間を八つ裂きにした。
二匹目、三匹目と、操(あやつ)り返しては相争わせ、減じさせていった。
「メユウ、ルクト!
“LIFE”の虹を思い浮かべて、どんな魔法でも、剣でもいい!」
ソマではない、リーシャがそう叫んでいた。
巨大な竜が降り立つと、そこへ悪魔が次々に落ちてきて当たった。
絶叫が鳴りわたる。
衝撃波が起こったのを、なんと攻撃型ロニネで抑え込み、閉じ込めた。
またリーシャだ。
球体のロニネが収縮して、一点になる。
大地の魔法陣にメゼアラムが浮かぶと、今度は先のドラゴンが喚び出されて空へと向かう。
大竜は悪魔の大群を蹴散らしていった。