第 11 章「究極の魔法」
第 03 節「ビレッジビオム」
少女メユウは魔法の演習をしていた。
幼少時にドゥレタを覚えたソマが、メユウに大地からのヒーリングを教えたのだ。
「大地よ、お願い、力を貸して!
“LIFE”を覚えたいの・・・!!」
彼女の真剣な呼び掛けに、大地が応えるよう、緑色のエネルギーで包んだ。
「わあ、消耗なしで魔法が使える!」
今度はロニネを張ってみた。
「これで帳消しね、お姉ちゃんは何て言ったかしら、・・・そう、『プラマイゼロ』!」
心から嬉しくて無邪気に笑った。
リーシャが走り寄る。
「すごいわ、メユウ!」
その声が聞こえて、思わずソマは胸が詰まった。
昔、ムヴィアがソマにかけてくれた声と同じ調子だったからだ。
『すごいわ、ソマちゃん!
もうヒーリングを覚えたのね。』
『パナさん、わたしもっともっと練習するの!』
『そう、あなたはLIFEの術士。
世界と未来のために強くならなくちゃ。』
涙がこぼれるのをエプロンの裾で拭った。
「どうしたの?
泣いてるの・・・??」
「ううん、私も嬉しいの。
小さい頃の思い出・・・。」
声が詰まって顔を押さえると、恥ずかしくなって笑い出した。
「そうだ、発動のない“LIFE”を教えるね。
悪魔が襲ってきたら村を守るのよ。」
メユウとリーシャは瞳をキラキラと輝かせてソマのまわりに駆け寄った。
「雨が降った後、空が晴れて陽が差すと、ときどき『虹』が架かるでしょう?」
「うん、見たことある!」
「私たちが勉強している魔法も、それぞれ色を持っていて、正しく並べると虹になるの。」
「ええーっ!?」
「全ての魔法を習得するには長い時間が必要だけど、私たちは困難を乗り越えるために、今すぐその力を出さなければならない時がある。
その時のために教えるからね。」
「はーい!」