第 11 章「究極の魔法」
第 02 節「フォレストリザブルグ」
神獣マナゾイフノが起こした衝撃波によって、アーダ諸共吹き飛ばされたヱイユは、辛うじてアンチ・トゥウィフのロニネで身を護り、しばらく北東へ流された。
アーダが飛翔の自由を取り戻すと、その背に掴まって体を起こした。
「あんな巨獣を使うのか・・・。
しかも人智を具(そな)えているようだ。
奴らからすれば、人智を越えた『神』といったところか。」
アーダが怒りの声で同調する。
赤紫色の雲はリザブーグ東方から上空へ立ち昇(のぼ)り、悪天候を招いているように思われた。
風が反時計まわりに渦巻いている。
南のほうから生暖かい空気の流れが全身を撫でていき、ヱイユは鳥肌が立った。
その風に乗って、西のほうからやって来る、渡り鳥の群にも似た一団は、黒翼をはためかせた悪魔の大群に違いなかった。
「奴ら、どこから沸いて来やがる・・・!?」
全ての敵を相手にしてはいられない。
大挙して一体どこへ向かうか、目的を突き止めて阻止するのみである。