第 11 章「究極の魔法」
第 02 節「フォレストリザブルグ」
護りに徹していては敵の為すがままに翻弄されてしまう。
タフツァ自身はバリアの外へ出ざるを得なかった。
川に近い岩場に立つと、木々の切れ間から空が見えた。
上空に術士が浮遊して、拠点のバリアを狙っているらしい。
魔の眷属に“LIFE”は破れない。
しかし新手の敵だ。
この地へ差し向けられたのは異界師アムゾイル。
彼の狙いはタフツァであって、フィフノス奪還は二の次だった。
魔法に長けた者は付近の力関係を察知する。
強力な術士の居場所がすぐに分かるのである。
タフツァとアムゾイルは、互いを倒すべき標的と捉えた。
突如、鉱岩質のゴーレムが現れ、タフツァのほうへ猛突進してきた。
彼は杖を思いきり振り上げる動作をした。
ゴーレムの腹から背を垂直に貫く柱が立った。
それはストロー状に吸い上げたマグマと、瞬時の冷却だった。
インツァラで吹き飛ばす。
アムゾイルまで巻き込んだようだ。
異界のガーディアンが、まさかこんなふうに倒されるとは思わなかったのだろう。
ロニネに包まれて、心臓を押さえる術士の姿があった。
ゾーで急落させる。
バリアごと大地に叩きつける。
横凪ぎにトゥウィフを放った。
アムゾイルが落ちた地点へ滑走する。
そこには、片腕を地に着き、肩で呼吸する哀れな術士がいた。
「何がしたいんだ、お前は。」
異界師は悔しそうに睨み付けたが、力なくうなだれる。
相当な自信でここへ臨んだらしい。
それがあまりにもあっけなかった。
「よ、よくも、・・・小僧め!」
「実戦経験なしに、特殊な発動だけでずいぶんと思い上がったものだ。」
“LIFE”の魔法陣がアムゾイルを捕らえた。
またしても絶叫と断末魔の叫びが響いてこだました。
「お前自身の“LIFE”を終生、受け続けるがいい!」
タフツァはごく不機嫌そうに言い放つと、フォレストリザブルグの拠点へ帰って行った。