第 11 章「究極の魔法」
第 02 節「フォレストリザブルグ」
砦内(さいない)の女性騎士たちは落ち着きを取り戻していた。
奥の部屋にフィフノスを捕らえてある。
タフツァはルオミアに言った。
「テンギが巨大な獣に連れ去られてしまった。
次の狙いはフィフノスだ。
内外のLIFE騎士に周知してくれ。
このバリアは簡単には破られない。」
「分かりました。
迎撃作戦を展開します。」
「術士が来るだろう。
それは僕が引き受ける。
黒騎士と有翼獣を頼む。」
「はい!」
通信機へと急ぐ。
『先生、お待たせして申し訳ありません。』
『防ぎ所だな。
リザブーグから作戦を展開している。
そちらも頼んだよ。』
『フィフノスをいかがいたしましょう。』
『襲撃は撃退していい。
仲間と拠点を守ることも大切だ。
捕虜のために騎士たちが命を懸けるようなことがないようにしなさい。』
『はい、私が騎士たちを護ります。』
『だがいいか、タフツァ君、きみも死ぬな。』
『・・・はい!』
事態は緊迫している。
師と呼吸を合わせられたことが有り難かった。
外に戻ると、早くも戦闘が始まっていた。
拠点から敵を遠ざけること。
これが至上命令となっている。
ガツンガツンと打ちに行くLIFE騎士たちの剣戟に七色の魔法陣が現れる。
頼もしくもあるが、押し寄せる敵の数の方が圧倒しているように思われた。
タフツァは皆を護るためにも、雑魚を一掃するためにも、拠点に張ったバリアの半径を拡大した。
大地からのエネルギー供給量は原則、一定である。
枯渇させるわけにいかないからだ。
彼はバリアの中心に引き寄せる力で、拡大する障壁に敵を打ち当てていった。
“LIFE”の呵責によって、大半は身動きが取れなくなる。
その全てから、戦闘不能まで魔力を奪い取る。
バリアは二重となり、三重となった。
フィフノスの隕石を防いだ時は七重までかけた。
しかし今回は余力を残さなければならないし、護るべき半径が広い。
三重で限界といえた。
もし、神獣が襲ってきたら防げるだろうか。
今のタフツァの思考は、自らがターゲットとすべき術士がどこから来るか、どう戦うかに絞られていった。