第 11 章「究極の魔法」
第 02 節「フォレストリザブルグ」
異常現象が引き起こされたことはタフツァにも察知された。
上空が吹き荒れるので、地上も激しく揺れ動いた。
彼が築いた防衛拠点では、バリアの中に女性の騎士たちが、外に男性の騎士たちが布陣している。
タフツァは男たちをバリア内へ退避するよう促し、何が起きているかに思考を巡らせた。
『起点の魔力が強過ぎる・・・!!
巨大生物か、天体異常か・・・!?』
夕陽が射すでもなく、赤い雲が涌き起こっていた。
そこへ、信じられない光景が目に飛び込んだ。
神獣マナゾイフノが、テンギを両腕でしっかりと掴み、そのまま空へ、上天へ、舞い上がって行ったのだ。
「人型の、獣!?
あれが世界を滅ぼすという『神獣』か・・・!!」
女の顔がはっきりとタフツァを捉え、笑みを浮かべた。
『森ハ死ンダ。
世界ハ終ワリダ・・・♪♪』
足元が揺らぐ。
フォレストリザブルグの砦から女性たちの悲鳴が上がる。
ガラスの割れる音が響いた。
木々も揺れ動いている。
遠くから轟音が聞こえる。
『弱イ弱イ人間タチ。
大地ノ揺ラギニ大騒ギ・・・♪♪』
タフツァは突震を受けて転倒した。
「なぜ魔の一族に加担するんだ・・・。
『長老の木』の乱れが、・・・世界を乱しているのか。」
神獣の姿が雲の先へと消え、徐々に異変が収まってきた。
女性騎士のシスキュスが飛び出して来た。
「シェブロン先生から通信です!」
「ありがとう。
バグティムトの隊に、『外へ展開』と伝えてほしい。」