第 11 章「究極の魔法」
第 01 節「オルブーム」
「見たことない相手だったね。」
「悪魔結社マーラとは別の、反“LIFE”勢力だと思うわ。」
「シェブロン先生が言ってた、闇の一族か・・・。」
「ガトレーンとロールウェールも、マーラとは別行動だったし・・・。」
「その闇の一族が結束して、各国の都市を狙っている・・・!!」
「わたしの竜たちを、各地のみんなに送ってあげよう。
手紙を持たせて。」
赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の七匹の竜が、小型に召喚された。
「おねえちゃん、よくこれだけ捕まえたな。」
「だって居たんだもん、捕まえるわよ。」
「あ、あそこに、弱った仔竜がいる!」
サザナイアが指す方向に、迷い込んだと思われる幼い白竜が歩いていた。
ピンク色の鬣(たてがみ)が美しい。
「大丈夫?
ケガをしているみたい。
このままじゃあ・・・。」
「黒龍の仲間ではなさそうだ。
フィヲの魔法陣に保護してあげるのがいいよ。
“LIFE”のために生きてもらおう。」
怯える幼竜に、そっとかがみ込みながら声をかける。
「心配ないよ。
今、助けてあげるから。」
それはメスの仔竜だった。
畏れがなくなったように、元気に啼いた。
七色に光り輝く“LIFE”のメゼアラムが浮かび、傷ついた雌竜が魔法陣に収容される。
そして召喚され、先よりも生きのいい鳴き声を響かせた。
「キレイな声!」
フィヲは仔竜に「レナフィー」という名を与えた。
「八色になったね。
“LIFE”の魔法陣に配置してあげようよ。」
フィナモ(赤)、ズーダ(橙)、ドゥレタ(黄)、ググ(黄緑)、パティモヌ(碧)、ザイア(水色)、クネネフ(青)、テダン(紫)の円が描かれる。
その内側に、インツァラ、グルガ、ロニネ、ゾー、テティムル、ドファー、メゼアラム、トゥウィフの円が浮かぶ。
八匹の竜は各々が近い色の円上に立ち、歓びの声を発した。
二重に架かった虹の真ん中に、フィヲが「ゼエウ(空)」を配すると、竜たちに、仲間たちに、みるみる力が湧いてくるようだ。
「“LIFE”を体する生命は、個々の特色を持って、皆『金色』を帯びるんだ。
ほら、君たちからもまばゆい光が・・・!!」
フィヲの合図を受けて、各地の守護を誓った“LIFE”の天龍八部衆は、この世に生を受けた歓び、正法を広める者を助ける喜びに満ち満ちて、八方へと飛び立って行くのだった。