第 11 章「究極の魔法」
第 01 節「オルブーム」
早くもニヴ=ギュノンは下顎を突き上げられて後足立ちになっていた。
その無防備な腹部へ、フィヲが魔法弾の強撃を叩き込んだ。
二発当たり、三発目で倒れた。
イノイニスは少女の恐るべき魔力の強さに金縛り状態に陥った。
四発目の魔法弾が術士に直撃する。
ニヴ=ギュノンが元来た世界へ還る。
あっけなくも幻界師は“LIFE”の魔法陣に閉じ込められ、何発もの集中爆撃を受けたような全身ダメージに沈んでしまった。
「相当悪いことをしてきたのね。
全てあなた自身の“LIFE”から受ける呵責です。
気が済むまで苦しみなさい。」
強敵を倒したザンダ、ファラ、フィヲは、地上を走る流れ星のような光の線を見て驚いた。
その光が、漆黒のガトレーンを貫き、突き抜けた。
無残に飛び散った魔剣、盾、鎧と、天高く弾き飛ばされた兜、振り乱れた金髪、更には膝を折って前へ倒れる黒騎士の、武道者として再起不能の最後だった。
彼女が斬った敵の数は六百六十六人と、ガトレーンである。
「毎日これくらいの数で来るといいわ!」
二度と剣を握れない、悪道において立つことさえ不能となった、無力な悪魔の眷属たちは、山のように折り重なり、もはや“LIFE”の敵対勢力は、たったの一人もいなくなったのである。