第 11 章「究極の魔法」
第 01 節「オルブーム」
幻界師イノイニスは、巨大な二本の角を前面に突き出した、針金のような鬣(たてがみ)に覆われた幻獣を従えている。
ニヴ=ギュノンと命じられた怪物は、フィヲを狙っている。
「ファラくん、大丈夫!?」
「なんとか。
フィヲ、そっちを頼む!」
一度背を合わせた二人が、それぞれの敵にあたる。
ドマノクは黒龍の王を降臨させていた。
背中の翼が大きく広がり、太く長い尾が生えてきた。
『過去に滅んだ魔の眷属を、自分の体に呼び込んでいるのか・・・!?』
青い炎のブレスが放たれる。
四属性と亜流四属性を失っているファラには吸収ができない。
身でかわして、飛び上がったドマノクと距離を詰める。
背後を狙う。
龍王が翼を旋回させて払おうとする。
風が起こってファラが飛ばされる。
敵の頭上へ方向を転ずる。
高く高く飛び上がったかと思うと、雷電を思わせる超越力を以ってドマノクを斬り伏せた。
この時ファラは、発動のないテダンを念じていた。
黒龍王の頭部から腹部まで、一直線に斬られた線は焦げている。
“LIFE”の魔法陣が浮かび、意識を失って元の術士に戻ったドマノクは動きを封じられた。