第 11 章「究極の魔法」
第 01 節「オルブーム」
数百にも上(のぼ)った戦闘不能の黒騎士は、その数を増やしている。
サザナイアはロールウェールに魔法で遠隔狙撃されているのを見て取ると、微笑を浮かべて滑走速度を上げ、回り込んで距離を詰めた。
その視線に正面から捉えられた憐れな女術士は、心底怖れて悲鳴をあげた。
だが次の瞬間には弾き飛ばされ、宙に浮かんでいた。
ジャンプして追撃したサザナイアの美し過ぎる剣線がキラキラと光ったかと思うと、慈悲の強斬で両断してしまった。
兜割りである。
戦意ある相手には一切手加減をしない潔さが、武の道に生きる者の骨頂と言えまいか。
「あら、キレイな顔をしているじゃない。
どうして自らの“LIFE”に背くのかしら。」
そう言って振り返り微笑んだサザナイアに、ロールウェールは歯向かう牙を根こそぎ折られた感を得た。