第 11 章「究極の魔法」
第 01 節「オルブーム」
エレメンタルの勢力が増大する。
火は燃え上がり、水は渦巻き、風は吹き荒れ、土は鉱石や金属を剥き出しにした。
どれ一つ、操ることはできなかった。
炎を消そうにも、ザンダのパティモヌやザイアは飲み込まれた。
“LIFE”の盾で防ぎながら本体を叩くしかない。
ゼオヌールの宝剣で斬り込む。
ベナイザの杖と激突し、火花が散る。
火のエレメンタルがザンダを包みにかかる。
アンチ・フィナモのバリアを張って上へ逃れる。
今度はエレメンタルを囲うようにして、アンチ・フィナモの攻撃型ロニネを起こす。
収縮させる。
力は強いが負けるわけにいかない。
出力を上げて一点集中まで押さえ込む。
ザンダはそれを丸ごとテティムルで吸収した。
急進して距離を取る。
高電圧で水のエレメンタルを狙う。
電気分解が起こる。
そしてインツァラである。
術士ベナイザが負傷して吹き飛ぶ。
鉱石を、金属を、ゾーで地面に落とす。
勢力を失った風のエレメンタルに至っては、ザンダのテティムルで吸引してしまった。
ドガァが走っている。
ベナイザを追撃するのだ。
ザンダは速度を上げた。
ダメージを負った片腕を押さえ、杖を取り落としたベナイザの首をドガァが咬む。
恐怖の絶叫が響き渡る。
そこへ刃のない宝剣で強撃した。
頭部が喰い千切られたと錯覚した女術士は、気が狂ったように転げ回り、のたうち回った。
「二度と出てくるな!」
ベナイザを囲む大地に“LIFE”の魔法陣が浮かび上がると、この世のものと思えぬ断末魔の金切り声が耳を劈(つんざ)いた。
フィヲは交戦中の仲間には個別のバリアを張っている。
このスクリームは敵の耳だけを痛めつけることとなった。