第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
この日の出来事を、ルクトは師スヰフォスに書き送った。
『先生、今日は旅の魔法使いソマさんが稽古をつけてくれました。
おれの力では全部跳ね返されて、打てませんでした。
だけど、強い人にも隙を作ることはできると思います。
それには手数と根性です。』
後日、スヰフォスはシェブロンと共に若い教え子の成長を喜び、こう返信した。
『君は日頃から、村と子供たちを守りたい一心で剣の稽古に勤(いそ)しんでいる。
剣の道において、一歩も譲らない強い意志がある。
そこに君自身の“LIFE”が発動して、ソマさんの“LIFE”にも負けない力となって現れた。
これからはソマさんを“LIFE”の先生と思って、どんな時にも出せるように修得するといい。』
ルクトは師が書いた文字、とりわけ“LIFE”の文字に胸の高鳴りを覚えた。
ソマの杖に煌めいた七色の光。
それと同じものが、確かに彼の剣にも現れ、最後の勝負を決したのだ。
気が付くと、温かい涙が滴って手紙を濡らしていた。
「ら、いふ。
そうだ、おれはライフだった。
確かにおれは、ライフを求めていたんだ、ずっと。
ずっと前から・・・!!」
エプロン姿で箒(ほうき)を手に道を掃いていたソマの所にルクトがやって来た。
剣を地面に置き、跪(ひざまず)いて請願した。
「ソマ先生!
おれに“LIFE”を教えてくださいッ!!」
目を見開いたソマの顔が満面の笑みに変わる。
「ルクト君、“LIFE”を知っているのね!?
私が教わったこと、全部教えてあげるわ。」
彼女が降参した時のように、ルクトは両腕を上げ、「やったー!!」と声に出して喜んだ。