The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」

第 66 話
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この日の出来事を、ルクトは師スヰフォスに書き送った。

『先生、今日は旅の魔法使いソマさんが稽古をつけてくれました。
おれの力では全部跳ね返されて、打てませんでした。
だけど、強い人にも隙を作ることはできると思います。
それには手数と根性です。』

後日、スヰフォスはシェブロンと共に若い教え子の成長を喜び、こう返信した。

『君は日頃から、村と子供たちを守りたい一心で剣の稽古に勤(いそ)しんでいる。
剣の道において、一歩も譲らない強い意志がある。
そこに君自身の“LIFE”が発動して、ソマさんの“LIFE”にも負けない力となって現れた。
これからはソマさんを“LIFE”の先生と思って、どんな時にも出せるように修得するといい。』

ルクトは師が書いた文字、とりわけ“LIFE”の文字に胸の高鳴りを覚えた。

ソマの杖に煌めいた七色の光。
それと同じものが、確かに彼の剣にも現れ、最後の勝負を決したのだ。

気が付くと、温かい涙が滴って手紙を濡らしていた。

「ら、いふ。
そうだ、おれはライフだった。
確かにおれは、ライフを求めていたんだ、ずっと。
ずっと前から・・・!!」

エプロン姿で箒(ほうき)を手に道を掃いていたソマの所にルクトがやって来た。

剣を地面に置き、跪(ひざまず)いて請願した。

「ソマ先生!
おれに“LIFE”を教えてくださいッ!!」

目を見開いたソマの顔が満面の笑みに変わる。

「ルクト君、“LIFE”を知っているのね!?
私が教わったこと、全部教えてあげるわ。」

彼女が降参した時のように、ルクトは両腕を上げ、「やったー!!」と声に出して喜んだ。

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