第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
すでに外が暗いので、試合は翌朝の食後になった。
ソマは、自分のために用意された部屋で一人、ルクトやメユウのことを考えた。
『メユウは私に似てる。
ルクトはヱイユ君?
いえ、あれはきっとツィクターさんに似ているんだわ。』
ミルゼオ国ビオム村も日が暮れると肌寒い。
暖炉の薪(たきぎ)がパチパチと音を立てて燃えている。
『この村に“LIFE”を伝えていかないと。
そうだ、私も杖に“LIFE”の魔法陣を込めて打ち合おう。
時々、魔法に触れさせてあげるのがいい。』
彼女も“LIFE”を使うからには真剣勝負で臨もうと思った。
『メユウと、あの子はリーシャと言ったかしら・・・。
青紫色の髪。
・・・パナさんそっくりだわ。』
そして声に出して言った。
「魔法を教えよう。
“LIFE”を・・・!!」
師シェブロンの声が聞こえるようだ。
『わたしの可愛いソマ、今日も子供たちをありがとう。
ミルゼオを、ビオムを頼むよ。』
それは彼女自身の幼少期、師が呼び掛けてくれた時の記憶と重なっていた。