第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
ルクトは心優しい少年だが、剣の志を置いて少女の誘いに乗ることはしなかった。
本当に決めた時間まで森で稽古に励んだのである。
村に戻ると、イズとメユウ、もう一人の少女と、そこにソマもいた。
子供好きなソマは子供たちを飽きさせもせず遊ばせている。
「あ、ルクト兄!」
メユウもこう呼んだ。
顔を赤らめて、それでも表情は緩めない、少年のひたむきさが見てとれる。
ソマはこういう少年が好きなのだ。
「あら、おかえりなさい。
剣が使えるのね。」
ルクトは下を向いてしまった。
手を取るソマを、俯(うつむ)き加減に見た。
自分の全てを包み込むように、優しく微笑んでいる。
真面目な彼は、師の言い付けを思い出した。
「旅の、ひと・・・?」
「うん、私はソマ。」
頭がぽーっとした。
首を振りながら、やっとのことで声にする。
「おれの、剣の稽古を・・・。」
「私が剣の!?
じゃあ、魔法使いとして相手してもいいかしら・・・?」
スヰフォスから剣と剣の試合を言い付けられているわけではない。
彼自身のために稽古をつけてもらうよう、道を示してくれたのだ。
「強くなりたい。
・・・お願いしますッ!」