第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
タウサー族の錯乱者ヅモノは、嗜好が常人と異なるため、部族の集落を離れ、逆方向魔法陣の中に引き籠るようになった。
以来、異常性が増大して、他人が嫌がること、嫌悪すること、忌避することを日常とした。
その姿が目撃されるたび、同族、他部族の者から罵られ、退去するよう責め立てられた。
自らの行いと、逆方向魔法陣の害毒によって顰蹙(ひんしゅく)を買ったのだが、悪いのは全て他者であると、ますます引き籠り生活の深みに落ちて行った。
世を呪う異常心はやがて精神を崩壊させ、為(な)すこと全てが犯罪行為となった。
この独居を訪(とぶら)った人物がいる。
古代魔法学者ケプカスである。
彼はヅモノが求める「神」そのものだった。
「邪神」は悪魔崇拝を説き、悪道を示し、迷えるヒツジを地獄の底へと誘(いざな)った。