第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
ザンダの部隊と合流したファラ、フィヲ、サザナイアは、オルブーム大陸西のアゴー族を味方につけ、更に北上してランラ族の集落を目指していた。
ロマアヤ公国としてアゴー族と和平同盟を結ぶことができた。
更にその同盟部族がランラである。
元々交易のなかったワリヒ族とアゴー族の若者たちがそのまま同行してくれた。
彼らは最初、不慣れな道を行かせることはできないからと言ったが、今ではオルブームを一つに結び合わせる旅が楽しいと感じていた。
何よりLIFEという旅の一行、その思想と行動に強く惹き付けられるのだった。
「魔の一族は北を目指してどこまで行くつもりなのかしら・・・。」
「まず長老の木へ。
そこで何が起こっているか、確かめましょう。」
「ランラ族と仲良くなって、情報収集だね。」
フィヲが身振り手振りで通訳する。
ファラと同じオーバーアクションで皆を笑わせた。
ワリヒの男性が言う。
『私たちは海の神を信じている。
ランラは長老の木を神格化しているんだ。』
アゴーの女性も話に加わる。
『アゴーとタウサーは停戦中だ。
どちらもヤコハ=ディ=サホを信仰している。』
どの民族も拝むときは手を合わせるし、目は仰ぐようにする。
フィヲにもすぐ伝わった。
「わたしは、誰もが胸の内に持っている“LIFE”を信じているの。
これと同じものが、アズライマ(星)と宇宙にもある。
そう信じて、毎日大小の“LIFE”を交流させる祈りを捧げるわ。」
難しいようだが、この大事の法でさえ、手振りで伝わっていった。
『おおぉー、ラ・イ・フ!』
『なんて素晴らしいんだ!』
『ワリヒの神にも“LIFE”がある!』
『ヤコハ=ディ=サホにも、“LIFE”がある!!』
フィヲは満面に笑みを湛えて言った。
「そう、長老の木にも“LIFE”があるのよ・・・!!」